セブ島移住して5ヶ月目のがぶちゃんと申します。
今更ながら、ずっと読みたかった辻村深月さんの傲慢と善良を遂に読んでみたので、今日はその感想を自分の今の状況と照らし合わせてシェアしていきたいと思います。
この本を手に取ったきっかけ
ここセブ島に来て、私はある事情から転職をせざるを得ない状況になって、ちょうど明日から新しい場所で働くことになりました。
前の職を辞めて新しい職場に行くまでの短い間ですが自分と向き合う時間ができたということで、その期間に今自分が一番読みかった本『傲慢と善良』を読むことにしました。
自分にとっては、今
- 日本から海外に思い切って飛び出してきたタイミング
- 将来について悩んでいるタイミング
- 新しい職場で働くタイミング
これらのタイミングが重なった今、タイミングとしてはベストだったのではないかというくらいに、自分の心情にグサグサ入ってきて、心に響く言葉だらけでした。
自分のあらゆる選択は善良か?それとも傲慢なのか?
そんなことを考えずにはいられませんでしたし、そんな将来の選択に悩むアラサー女子に絶対おすすめな一冊間違いなしです。
あらすじ
婚約者・坂庭真実が姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。「恋愛だけでなく生きていくうえでのあらゆる悩みに答えてくれる物語」と読者から圧倒的な支持を得た作品が遂に文庫化。《解説・朝井リョウ》
Amazonより引用
読んだ感想
この本の構成は、前半疾走した桜庭真実を探す婚約者『架』の目線で物語が進んでいきます。
なぜ、結婚を前に真実が疾走したのか?それを突き止めるために、婚約者である架が真実の周辺のいろんな人に会い、話を聞くうちに気づいていく、自分の『傲慢さ』や真実の周りの人間の『傲慢さ』そして、真実の『善良さ』が描かれています。
とにかくアラサー女子である私が共感するポイントは、自分のしている選択は自分の意思で決めているのか?それとも家族や周りの人、世間の目を気にして決めた選択なのか?ということところ。
私がかつて自分の結婚を選択した時も(現在は離婚済み)、もしかしたら『自分の意思』だけでは決めてなかったのかもしれない、なぜなら
いわゆる世間がいう普通の家庭が欲しくて、両親が安心するような『いい子』でいたくて、周りから『結婚している人』というステータスで見てもらいたくて、自分は結婚を選択したのではないか、と、物語に出てくる真実と似たような感覚を自分も持っているなと感じたのです。
もちろん、相手のことが心から好きだったこともまた事実ですが、純粋に自分の気持ちだけで選択できていたとは思えないこともまた事実だったと今は思います。
主人公の真実は、ショッピングセンターで自分の周りを行き交う、世間が思う『普通の家庭』をいつの間にか築けずに自分が世間から置いてかれてるような感覚になり、
(この表現が正しいか正しくないかは置いておいて)婚活市場ではもはや『バーゲンセール品』状態になってしまっています。
しかし、当の本人はというと、その自覚がないどころか、自分はと釣り合うような男性は婚活市場にいるような『バーゲンセール品』の男性ではなく、『もっといい人がいるはず』ともがきながら、やっとの思いで見つけた架というこれ以上ない相手を見つけることになります。
真実だけでなく、真実の両親もまた自分の娘に釣り合う男性は良い経歴を持ち、良い職についている男性であるべきだと、もはや真実のためではなく自分のプライドのために真実の人生に介入し続ける、『子離れできていない親』として描かれています。
近年、私も感じることだが、親だけに限らず他人の人生に介入しすぎていて、もはや自分との境界線がわからななくなっている人が多くなってきていると感じる瞬間がよくありませんか?
SNSなどの普及により、自分と他人との境界線が曖昧になりすぎてしまっているんだと思うんです。
自分の見栄のため、他人から羨ましく思われたいという承認欲求がエスカレートして、だんだんと境界線がわからなくなってしまうんではないか、と。
私も主人公ほどではないにしても少なからず、自分の人生だけではなく『親に喜んでもらうため』『他人に賞賛されたい、認められたい』ための人生の選択をし続けることになるんです。
確かに世間的に、はたまた親目線から見れば『善良』な人間ということになるでしょうが、その選択はほんとに自分にとっての正しい選択と言えるのか?をこの本と向き合っている間ずっと問いただされ続けるのです。
私は主人公の真実と自分を重ね合わせずにはいられませんでした。
私が過去に勉強を頑張ったり、良い大学に行ったり、大企業に就職したりしたのは、果たして自分のための選択だったのだろうか?と‥
それは世間からの見られ方や親を安心させるための選択ではなかったのか?と‥
後半真実の目線から描かれるストーリーの中で、真実は自分のついたひとつの嘘から、東京にはいてもたってもいられずに東日本大震災のボランティアに身一つで参加しにいくことになります。
そこで初めて周りの目を気にせずに、『自分』で自分の人生を選択して、物事を進めたり、出会う人との関係を構築していくのです。
これもまた、私自身、今日本という土地を離れて、セブ島という誰も知らない土地に来たことととてもリンクするところがありました。
親や周りの人の目など一切気にせずひたすら『自分で自分の人生を選択すること』を今まさにしているんだなと。
いろんな出会いを通して自分とひたすらに向き合い、『自分は何をしたいのか?』を常に問う真実と架には、表面的なステータスや外見、経歴、SNSでの見られ方、周り方の見られ方ではなく、自分が本当に必要で一緒にいたいと思える人に出会えたのだと最後は読んでとれました。
この本は婚活・恋愛小説に分類されるみたいですが、必ずしもそこだけの要素ではなくて、
自分が行なっているあらゆる選択が、自分のほんとにやりたいことなのか、それとも周りからの見られ方を気にした選択なのか、という現代の人が抱えている悩みにグサグサ入ってきます。
今を生きている人なら、主人公の真実の選択に共感せずにはいられないと思います。
改めて、自分の選択について考える良いきっかけになったし、今このタイミングで読めたのも何か運命的なものを感じました。
常に自分がどうしたいかを軸に生きていくことを忘れずに生きていく。
悩めるアラサー女子、必読必須です!!